独自分析
少子化出生数第2子2人目の壁こども未来戦略
出生数67万人、最も減ったのは「2人目」。少子化の焦点は第2子へ

出生数67万人、最も減ったのは「2人目」。少子化の焦点は第2子へ

第1子の減少率1.0%に対し第2子は3.4%。婚姻数は2年連続で増えたのに出生数は10年連続最少を更新した。少子化の焦点は「結婚するか」から「2人目を持てるか」に移りつつある

2026-07-01

3.4%

第2子の前年比減少率

「10年連続最少」の内訳

2025年の出生数は67.1万人。10年連続で過去最少を更新した。合計特殊出生率は1.14で、こちらも過去最低だ。

ただし「一様に減っている」のではない。出生順位別の内訳が、景色を変える。

  • 第1子: 31.9万人(前年比 -1.0%)
  • 第2子: 24.0万人(同 -3.4%)
  • 第3子以上: 11.2万人(同 -2.9%)

減少に最も寄与したのは第2子で、減少数は約0.8万人。第1子の3倍以上のペースで減っている。

一方、婚姻数は48.9万組で2年連続の増加だ。結婚する人は増えているのに、子どもの数は減り続けている。この矛盾の核にあるのが「2人目で止まる」という構造だ。

出生率1.14は、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計が2040年頃と見込んでいた水準。約15年前倒しで到達した。

出生数の推移(2016〜2025年)

厚生労働省 人口動態統計

理想2.25人、実績1.81人

理想と現実には、すでに大きなズレがある。

出生動向基本調査(2021年)によると、夫婦の平均理想子ども数は2.25人。ところが実際の完結出生児数(妻45〜49歳時点の最終的な子ども数)は1.81人にとどまる。

差は0.44人。つまり「もう1人欲しかったが、諦めた」夫婦が一定数存在する。

理想を実現できない理由の1位は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」で52.6%。他の理由を大きく引き離す。

さらに注目すべきは「仕事に差し支える」という回答が、第2子・第3子の検討段階で急増する点だ。第1子出産後に復職し、ようやくキャリアを立て直そうとするタイミングで、もう一度休むことへの不安が重なる。

子どもが1人なら回る家計と時間が、2人目を境に一気に逼迫する。この非線形な負荷増が「2人目の壁」の中身だ。

出生順位別の前年比減少率(2025年)

厚生労働省 人口動態統計

3.6兆円の届く先

政府は2024年度から3年間で3.6兆円を投じる「加速化プラン」を進めている。

柱は3つ。

  • 児童手当の拡充(所得制限撤廃・第3子以降月3万円)
  • 高等教育の負担軽減
  • 保育士の処遇改善

いずれも「すでに子どものいる家庭」への支援が中心だ。給付の効果はあるが、2人目を「産むかどうか」の判断には間接的にしか届かない。

判断を直接左右するのは、出産前後のキャリア断絶リスクだ。男性育休取得率は上昇傾向にあるが、取得期間は短期に偏ったままだ。

第2子の検討段階で「仕事に差し支える」がハードルとして急浮上する背景がここにある。第1子の育休から復職し、キャリアを立て直すタイミングでもう一度中断するコストは重い。金額の支援以上に「中断しても戻れる」環境が効く局面だ。

1.14が映すもの

出生率1.14は、社人研の悲観シナリオ(低位推計1.10)に接近している。

仮に政策効果が出るとしても、出生数に反映されるまでには5〜10年のタイムラグがある。その間にも出産適齢期(25〜39歳)の女性人口は年々縮小する。母数が減る中で出生率を押し上げるのは、数学的にきわめて難しい。

出生動向基本調査のデータは、理想子ども数2.25人と完結出生児数1.81人の差──0.44人分──が「制度次第で埋まりうる部分」であることを示している。

この0.44人を生み出しているのが、コストと時間の「2人目の壁」だ。67万人の内訳を開けると見えてくるのは、少子化の焦点がすでに「結婚するかどうか」から「2人目を持てるかどうか」に移っているという事実だ。