ガソリンのもとになる原油、95.9%が中東産。1987年度は67.9%だった
10月5日召集の臨時国会に原油調達3法案が出る。交付金の条件は、どこから買うかではなくホルムズ海峡を通らずに運んだかだ
2026-09-30
95.9%
原油輸入の中東依存度(2024年度、1965年度以降で最高)
95.9%は1965年度以降で最も高い
日本が輸入する原油のうち、中東産が占める割合は2024年度に95.9%になった。 比較できる1965年度以降で最も高い。
この比率はずっと高かったわけではない。
- 1967年度:91.2%
- 1987年度:67.9%
- 2022年度:95.2%
- 2024年度:95.9%
1970年代の石油危機のあと、日本はインドネシアや中国から買う量を増やした。 1980年代後半には、原油3本のうち1本が中東以外の産地になっていた。
その後、アジアの産油国は国内消費が増えて輸出に回す余力を落としていく。 減った分を埋めたのは中東で、依存度は石油危機の前の水準まで戻った。
国別に見ると、危機前の平時ベースでUAEが43.2%、サウジアラビアが39.6%を占める。 クウェートが6.1%、カタールが4.2%と続く。
上位2カ国だけで8割を超える。
原油輸入の中東依存度の推移
出典:資源エネルギー庁「石油輸入調査」、エネルギー動向2025年版
原油調達3法案の中身
9月29日、赤沢亮正経済産業相は原油調達に関する3法案を臨時国会に提出すると表明した。 国会は10月5日召集で、会期は12月12日までの69日間だ。
3法案は役割が分かれている。
- 原油等調達多角化法:ホルムズ海峡を通らずに原油を輸入した事業者に、増えたコスト分を交付金で支給する
- JOGMEC法改正案:産油国でのパイプライン建設を後押しする
- 原油等輸送保険法:原油の輸送にかかる保険を整える
法案の名前には「多角化」が入っている。 ただ、交付金が出る条件は「どこから買ったか」ではなく「ホルムズ海峡を通らずに運んだか」だ。
海峡の外側にある積み出し港まで陸のパイプラインで運べば、産地が中東のままでも対象になる。
3本が支えているのは、調達先の入れ替えではない。 同じ産地の原油を別の道で運ぶ動きだ。
日本の原油輸入の国別シェア(危機前の平時ベース)
出典:財務省貿易統計をもとにした集計
迂回ルートで運べる量
ホルムズ海峡は、平時に日量約2,000万バレルの原油と石油製品が通る。 2026年1〜3月は日量1,460万バレルで、前年同期から約3割減った。
海峡を通らない陸のルートは、サウジアラビアの東西パイプラインとUAEの内陸パイプラインが中心だ。 2本の余力を足しても日量350万〜550万バレル程度で、平時の通過量の2割から3割にとどまる。
日本が必要な量は日量224万バレルだ。 数字だけなら迂回ルートの枠に収まるが、その枠は他の輸入国も取りに来る。
足りない分は備蓄で埋めることになった。
- 3月:当面1か月分の国家備蓄原油の放出を決め、3月26日から開始
- 4月24日:第2弾として約20日分(約580万kl、約5,400億円)の放出を発表
4月24日の発表資料には「5月には前年実績比で過半の代替調達が可能となる見込み」とある。 前年に運べていた量の半分を超えるところが、5月の目標線だった。
ホルムズ海峡の通過量と迂回ルートの余力
出典:米エネルギー情報局(EIA)、経済産業省公表資料
危機が収まったあとに残る比率
依存度が下がった時期は、危機の前にあった。 2025年度4〜8月の中東依存度は93.0%で、同じ期間では2020年度以来の低い水準だ。 押し下げたのは米国産原油の増加だった。
危機のあとも同じ向きの動きは続く。 5月の米国産原油の輸入は前年比24%増で、シェアは約12%まで上がった。
ただ、遠い産地には運賃と日数が乗る。 代替調達分の到着は早くて7月後半、通常は8月以降とされた。
この運賃差を埋めるのが交付金だ。 海峡の通航が戻って運賃差が小さくなれば、交付金が出る理由も小さくなる。
店頭の数字には別の要因も挟まる。 ガソリンの全国平均は9月14日時点で169.9円/Lで、定額引き下げの公表資料には措置がない場合の水準として205.9円/Lが併記されている。
3法案が成立しても、95.9%という比率そのものは動かない。 動くのは、海峡が細ったときに耐えられる日数だ。
比率が動くのは、価格が落ち着いたあとも遠い産地を選び続けたときだけになる。