独自分析
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ふるさと納税1万円、自治体に残るのは5,210円

ふるさと納税1万円、自治体に残るのは5,210円

10月から「自治体が使える分は52.5%以上」という下限ができる。全国平均は52.1%で、すでに0.4ポイント足りていない

2026-09-24

5,210円

寄付1万円あたり自治体に残る額

10月から下限は52.5%

ふるさと納税は、毎年10月1日から翌年9月30日までを一区切りに、総務省が対象の自治体を指定する仕組みだ。2026年10月からの指定で、基準が二つ加わる。

一つは、寄付金のうち自治体が自由に使える「寄付金活用可能額」の割合だ。これまでの下限は50%だったが、52.5%以上に引き上げられ、以降は毎年2.5ポイントずつ上がっていく。

  • 2026年10月から:52.5%以上
  • 2027年10月から:55%以上
  • 2028年10月から:57.5%以上
  • 2029年10月から:60%以上

裏返せば、募集にかけられる経費は47.5%から40%へ絞られていく。返礼品の調達費を寄付額の3割までとする上限は、これまでどおりだ。

もう一つは加工品の扱いで、区域外から仕入れた原材料を使う場合は、区域内の加工で生まれた付加価値が調達費の50%を超えることを証明し、公表しなければならない。時事通信によれば、返礼品の約半数がこの基準の対象になる見通しだ。

自治体が使える分の下限(各年10月からの指定)

出典:総務省(令和8年度税制改正)

寄付1万円の行き先

2025年度(令和7年度)の受入額は1兆3,314億円、件数は5,963万件だった。総務省が7月末に公表した現況調査に、その行き先が載っている。

募集に要した費用は6,382億円で、受入額の47.9%にあたる。残る6,932億円が自治体の使える財源だ。割合にすると52.1%、寄付1万円あたり5,210円になる。

費用の内訳はこうなる。

  • 返礼品の調達:3,528億円(26.5%)
  • 事務費など:1,809億円(13.6%)
  • 返礼品の送料:756億円(5.7%)
  • 決済:196億円(1.5%)
  • 広報:93億円(0.7%)

前年度、自治体の手元に残る割合は53.6%だった。1年で1.5ポイント下がり、10月から求められる52.5%を0.4ポイント下回る位置にいる。

基準は自治体ごとに判定されるので、平均値がそのまま基準割れの件数を示すわけではない。ただ、平均が下限の下にある以上、水準を上げなければならない自治体は相当数にのぼる。

ふるさと納税1兆3,314億円の行き先(2025年度)

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」

経費で増えた二つの費目

経費率が46.4%から47.9%へ上がった中身は、二つの費目に絞られる。

  • 返礼品の調達費:25.2%から26.5%へ(1.3ポイント増)
  • 事務費など:13.2%から13.6%へ(0.4ポイント増)

送料と決済はむしろ下がった。米や肉の値上がりが調達費を押し上げた面はあるが、返礼品を厚くする動きも重なっている。

事務費のなかで大きいのは仲介サイトへの支払いだ。2025年度は寄付の97.2%が仲介サイトを経由し、前年度の94.5%から2.7ポイント上がった。自治体が事業者に払った額は2,433億円で、返礼品の調達費と送料の立て替え分を除いた実質的な手数料にあたる部分は1,490億円、受入額の11.5%だった。

この11.5%は前年度と同じ水準だ。率が動かないまま寄付が増えたため、金額だけが1,379億円から111億円積み上がった。総務省は2026年5月に事業者へ引き下げを要請し、8月末に20社の方針が出そろったが、東洋経済オンラインによれば一律の引き下げを打ち出したのは1社だった。

ふるさと納税による住民税控除額の推移

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」

7.9ポイントをどこから出すか

2029年10月の60%に届かせるには、経費率を47.9%から40%へ、7.9ポイント下げることになる。寄付額が今の水準なら、およそ1,050億円だ。

出ていく側は増え続けている。2026年度課税の住民税控除額は9,524億円、控除を受けた人は1,151万人で、2022年度の5,717億円から4年で1.7倍になった。

一方、削れる場所は多くない。

  • 返礼品の調達26.5%:上限3割は据え置きで、下げれば返礼品が薄くなる
  • 送料5.7%:物流費は上がる方向にある
  • 事務費など13.6%:最大の費目で、仲介サイトへの支払いが大きな部分を占める

消去法で残るのは事務費だ。10月の見直しで、1つの支払先あたり年100万円以上の費用について支払先と金額と目的を公表する義務が入ったのも、ここにつながる。どこにいくら払っているかが揃えば、自治体側の交渉材料になる。

つまり4年分の圧縮は、仲介サイトへの支払いをめぐる交渉として進むことになる。手数料率が11.5%のまま動かなければ、7.9ポイントは返礼品の量と質から出すほかなく、寄付を集める力そのものが細る。10月以降に返礼品の選択肢が減った分だけ自治体の財源が増えているかどうかは、2027年7月の現況調査で確かめられる。