ふるさと納税1万円のうち、自治体に残るのは5,206円
令和7年度の受入額は1兆3,314億円で過去最高。ポイント付与が禁止された初年度に、経費率は46.4%から47.9%へ上がった
2026-08-13
5,206円
1万円の寄付で自治体に残る額
過去最高の1兆3,314億円と、その内訳
総務省が7月31日、ふるさと納税の現況調査結果を公表した。令和7年度の受入額は1兆3,314億円、件数は5,963万件で、どちらも過去最高だった。
ただし、この金額がそのまま自治体の財源になるわけではない。寄付を集めるためにかかった費用は6,382億円、受入額の47.9%にあたる。
**1万円の寄付のうち、自治体に残るのは5,206円になる。**
差し引かれる4,794円の内訳はこうだ。
- 返礼品の調達:2,650円(26.5%)
- 事務費など:1,359円(13.6%)
- 返礼品の送付:568円(5.7%)
- 広報と決済:217円(2.2%)
寄付する側から見れば、自己負担2,000円で返礼品が届く仕組みは変わっていない。動いたのは、集まったお金のうち自治体が使える割合のほうだ。令和6年度の53.6%から、令和7年度は52.1%に下がった。
1万円を寄付すると、どこにいくら向かうか(令和7年度)
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」
ポイント付与が禁止された初年度の経費率
2025年10月1日、仲介サイトが寄付者にポイントを付けることが全面的に禁止された。総務省はこの改正にあたり、自治体がサイトに払う手数料が減れば、集めた寄付を他の事業に回せるようになると説明していた。
施行後の初年度が、今回公表された令和7年度にあたる。結果は、その想定どおりには進んでいない。
- 経費率:46.4% → 47.9%
- ポータルサイト経由の受入額の割合:94.5% → 97.2%
- ポータル運営事業者への支払額(調達と送付を除く):1,379億円 → 1,490億円
支払額は1年で111億円増えた。ただし受入額そのものも4.6%増えているため、受入額に占める比率は11%前後で大きくは動いていない。手数料の単価が下がったというより、扱う寄付額が増えた分だけ支払いも膨らんだ計算になる。
ポイントによる還元がなくなっても、寄付がポータル経由から離れる動きは起きていない。経由率はむしろ2.7ポイント上がり、97.2%に達した。
ポータル運営事業者への支払額(返礼品の調達と送付を除く)
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」
増えた費目と減った費目
費目ごとに前年度と比べると、どこが動いたかが見えてくる。増えたのは返礼品そのものだった。
- 返礼品の調達:3,208億円 → 3,528億円(25.2% → 26.5%)
- 事務費など:1,676億円 → 1,809億円(13.2% → 13.6%)
一方、決済にかかる費用は218億円から196億円に減り、送付は割合で5.8%から5.7%に下がった。
返礼品の調達費には、地方税法で寄付額の3割という上限がある。令和7年度の26.5%は、その上限まで3.5ポイントの位置まで来た。サイト側の還元が使えなくなれば、寄付を集める手段として残るのは返礼品の中身になる。費目の動き方は、その見方と整合する。
なお2025年9月には、ポイント終了前の駆け込み寄付が集中した。令和7年度の受入額にはその分が含まれている点は、割り引いて見る必要がある。
ふるさと納税の受入額の推移
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」
2026年10月に下がる経費率の上限
この経費率には、これから毎年下がる上限がかかる。総務省の告示で、募集経費の上限は次のように引き下げられる。
- 2026年10月:47.5%
- 2027年10月:45%
- 2028年10月:42.5%
- 2029年10月:40%
**令和7年度の全国平均47.9%は、10月から適用される47.5%を既に上回っている。** 自治体DX推進協議会が327自治体に聞いた調査でも、2025年度の経費率の中央値は48.5%だった。
返礼品の調達費の3割上限は据え置かれるため、削る先は仲介手数料と事務費が占めるおよそ2割に集中する。同じ10月には地場産品基準の運用も厳しくなり、総務省は返礼品の海外産ワインについて約1,700自治体に9月上旬までの回答を求めている。
一方で、返礼品を伴わない寄付は伸びている。使途を指定するクラウドファンディング型は227億円から333億円になった。7月28日の熊本地震では、返礼品も決済手数料もかからない代理寄付が動いている。
ポイント禁止の1年でわかったのは、還元の手段を一つ塞いでも、費用は別の費目へ移るということだ。上限40%までの工程が決まっている以上、次に圧縮されるのは仲介手数料と事務費になる。返礼品の豪華さで寄付を集めるやり方は、2029年に向けて段階的に狭まっていく。