比例45議席減で、四国の当選ラインは得票率14%から20%へ
浮く経費は年34億円で一般会計の0.003%。小選挙区の割合は並立制で最も高い69%になる
2026-10-09
69%
削減後に小選挙区が占める議席の割合
45議席で減る経費の大きさ
衆院の定数を465から420に減らす法案が、国会で審議されている。削るのは比例代表の45議席だ。
法案は2025年12月5日に自民党と日本維新の会が共同提出した。2026年6月には、削減の中身を比例代表の45議席とする内容で両党が了承している。
議員が減れば経費は減る。どのくらい減るのか。
議員1人にかかる公費は、歳費が年2,181万円(月129万4,000円と期末手当)、調査研究広報滞在費が年1,200万円、立法事務費が年780万円。公設秘書の人件費などを加えると、1人あたり年7,500万円前後という試算がある。
45人分なら年34億円ほどだ。2026年度の一般会計は122兆3,092億円なので、34億円はその0.003%にあたる。
衆参両院の議員1人あたりの人口は、衆議院調査局の資料で日本が17.5万人。英国4.6万人やドイツ11.9万人より多く、米国63.2万人より少ない。衆院が420議席になると18.7万人になる(米国は州議会の権限が大きく、単純には比べにくい)。
国会議員1人あたりの人口(G7)
出典:衆議院調査局第二特別調査室「選挙制度関係資料集」2025年版(削減後は衆参668議席として算出)
削る対象が比例だけという点
この法案で小選挙区の289議席は変わらない。比例代表だけが176から131になる。
すると、衆院の議席のうち小選挙区が占める割合が動く。62.2%から68.8%へ、6.6ポイント上がる。
1996年に小選挙区比例代表並立制が始まったときは、小選挙区300と比例200で60.0%だった。2000年に比例が20減って62.5%になり、その後は62%前後で推移してきた。69%は並立制が始まって以来で最も高い。
この割合は、票が議席に変わる精度を左右する。
2026年2月の衆院選では、小選挙区で得票率49.2%だった第1党が249議席を取り、議席占有率は86.2%になった。並立制のもとでは最高で、2012年の79.0%を上回る(時事通信の集計)。
小選挙区は1位以外の票が議席にならないので、得票の分布と議席の分布はずれる。比例はそのずれを一部埋め合わせる枠として置かれている。
埋め合わせる側の枠が、38%から31%に縮む。
衆院の議席で小選挙区が占める割合
出典:公職選挙法の定数改正の経緯から算出
ブロックが小さいほど上がる当選ライン
比例代表は全国11ブロックに分かれ、ブロックごとにドント式で議席が配られる。
ここで効いてくるのがブロックの定数だ。定数が小さいほど、1議席に届くのに必要な得票率が上がる。目安は「1÷(定数+1)」になる。
- 近畿(28議席):約3.4%
- 東京(19議席):約5.0%
- 北海道(8議席):約11.1%
- 四国(6議席):約14.3%
共同通信と時事通信が2025年国勢調査をもとにアダムズ方式で再配分した試算では、減る議席数はブロックで差がつく。近畿が7議席で最も多く、四国と北海道と中国は2議席ずつだ。
四国が4議席になると、当選ラインの目安は20.0%に上がる。6議席になる北海道なら14.3%だ。
45議席の削減は、全国に一律には効かない。定数の小さいブロックに住む有権者のほうが、1票が議席に届くための壁が高くなる。
比例ブロックで1議席に必要な得票率の目安
出典:公職選挙法の比例代表の定数からドント式で算出
1年以内の期限と10月末の結論
法案には自動削減の規定が入っている。施行から1年以内に衆院議長のもとの選挙制度協議会で結論が出なければ、比例45減がそのまま実行される。
協議会は9月の報告書案で、現行制度を前提にした見直しについて10月末をめどに結論を出すよう努力すると書いた。野党側は削減に反対しており、10月6日の各党協議でも結論は出ていない。
議論が止まることと、制度が動かないことは、この法案では別のことになる。期限が来れば比例だけが減る。
そのとき衆院の議席は、ほぼ7割が小選挙区になる。1票が議席に変わるかどうかは、どのブロックに住んでいるかで今よりも大きく変わる。
小選挙区の区割りも2027年に動く。2025年国勢調査に基づく区画審の勧告が2027年5月までに出る予定で、人口の増減に合わせた線引きの見直しがそこに重なる。
465から420という総数の差より、289対131という内訳のほうが、次の選挙の結果を左右する。