独自分析
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監督に入った職場の4社に3社で法令違反。2027年から育成就労の外国人は職場を移れる

監督に入った職場の4社に3社で法令違反。2027年から育成就労の外国人は職場を移れる

特定技能の事業場の違反率は76.5%で、4年間ほぼ動いていない。受け入れ枠は123万人に広がった

2026-09-16

76.5%

特定技能の職場の法令違反率(令和7年)

監督に入った8,082の事業場

厚生労働省が9月15日、外国人を使用する事業場への監督指導の結果を公表した。

特定技能外国人を使う事業場では、監督に入った8,082か所のうち6,179か所で労働基準関係法令の違反が見つかった。割合にして76.5%だ。技能実習生を使う事業場は13,148か所のうち9,619か所で73.2%。重大で悪質な違反による送検は、技能実習が26件、特定技能が9件だった。

ただし、この76.5%を「外国人を雇う職場全体の違反率」と読むことはできない。労働基準監督署は、申告や情報提供をもとに違反が疑われる事業場を選んで監督に入るからだ。外国人を雇う事業所は2025年10月末で37万1,215か所あり、監督が入った8,082か所はその2.2%にあたる。

読み取れるのは別のことだ。違反が疑われて絞り込んだ先では、実際に4分の3以上で違反が出てくる。

73%台が続いた4年間

選び方が毎年同じなら、年をまたいだ比較には意味が出る。技能実習生を使う事業場の違反率を並べてみる。

  • 令和4年 73.7%
  • 令和5年 73.3%
  • 令和6年 73.2%
  • 令和7年 73.2%

4年間で0.5ポイントしか動いていない。この間、監督指導の実施件数は9,829か所から13,148か所へと3割以上増えた。入る件数を増やしても、違反が見つかる割合は変わらなかったことになる。

特定技能は公表が2年目で、令和6年が76.4%、令和7年が76.5%。技能実習より3ポイント高いところで並んでいる。監督件数も5,750か所から8,082か所へ4割増えており、件数を積んでも率が動かない点は共通している。

技能実習生を使う事業場の法令違反率

出典:厚生労働省(監督指導、送検等の状況)

指摘された上位3項目

違反の中身を見ると、上位の顔ぶれが毎年ほぼ同じになる。令和7年の特定技能ではこうだ。

  • 機械等の安全基準 20.7%
  • 健康診断の結果についての医師の意見聴取 16.7%
  • 割増賃金の支払 16.3%

3つとも、在留資格の制度とは関係がない。日本人を雇っていても同じように求められる、労働基準法と労働安全衛生法の基礎的な項目だ。

つまり、ここで起きているのは外国人向けの特別な仕組みが足りないという話ではない。残業代を払う、機械に覆いをつける、健康診断の結果を医師に見てもらう。その水準の管理が欠けたまま、違反の上位を占め続けている。

前年の令和6年も、順番が入れ替わるだけで同じ3項目だった。技能実習の側も顔ぶれは変わらない。制度が違っても、つまずく場所は共通している。

在留制度をどう組み替えても、この3項目は直接には動かない。動かすのは事業場ごとの労務管理だ。

令和7年に指摘された主な違反事項(特定技能を使う事業場)

出典:厚生労働省

2027年4月に始まる転籍

2027年4月1日、技能実習に代わって育成就労が始まる。

技能実習では、本人の希望で職場を移ることが原則できなかった。育成就労では、分野ごとに定めた1年か2年の制限期間を過ぎれば、本人の意向による転籍が認められる。ただし条件がつく。

  • 技能検定の基礎級などに合格していること
  • 日本語能力がN5相当以上であること
  • 転籍先が、育成実績などから優良と認められる受入企業であること

受け皿が優良と認められた企業に限られる以上、人が流れる先ははじめから絞られている。

枠のほうは広がった。2026年1月23日の閣議決定で、育成就労は2年で42万6,200人、特定技能は5年で80万5,700人、合わせて123万1,900人になった。政府は9月9日の有識者会議に、対象へ航空分野を加える案も示している。

対して特定技能1号の在留者は、2025年12月末で38万2,341人。5年枠の47%にとどまる。

枠は上限であって、各社への配分ではない。2027年以降に人が来るかどうかを分けるのは、対象分野が増えるかどうかより、割増賃金と安全基準と健康診断という基礎的な3項目を自社が満たしているかどうかになる。

受け入れ枠と現在の在留者数

出典:2026年1月23日閣議決定、出入国在留管理庁