皇位を継げるのは60歳と19歳と90歳。改正皇室典範でも3人のままだ
7月17日に成立した79年ぶりの実質改正。女性皇族の身分保持と旧宮家からの養子で増えるのは皇族の人数で、継承資格者ではない
2026-08-28
3人
改正後も変わらない皇位継承資格者
79年ぶりの改正で決まった2つの制度
2026年7月17日、改正皇室典範が成立した。1947年の制定以来、本則の実質的な改正は初めてになる。
柱は2つある。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ制度と、1947年に皇籍を離れた旧11宮家の男系男子を養子に迎える制度だ。自民党、日本維新の会、公明党、国民民主党などの賛成多数で可決し、立憲民主党や共産党などは反対した。
法案が掲げた目的は「皇族数の確保」で、条文もそこに向いている。宮内庁が公表する皇族は16人、うち9人が60歳以上だ。
**一方で、皇位継承資格を持つ人は改正の前後で3人のまま動いていない。**
- 秋篠宮さま(60歳)
- 悠仁さま(19歳)
- 常陸宮さま(90歳)
増えるのは皇族の人数であって、継承資格者の数はそれとは別の条件で決まる。
皇位継承資格を持つ3人の年齢(2026年8月時点)
出典:宮内庁「皇室の構成」および公表の生年月日
養子も身分保持も、増えるかどうかは本人次第
養子の条文は、養子になった本人に皇位継承権を与えていない。継承資格を持つのは、その養子に生まれた男子だ。
継承資格者が1人増えるには、養子縁組、結婚、男子の誕生という3つの段階を順に踏むことになる。
対象は旧11宮家の男系子孫のうち、配偶者と子がいない15歳以上の男性に限られる。該当者が何人いるかを宮内庁は把握していないと説明しており、対象の規模が分からないまま制度が先に整った形だ。
旧11宮家が皇籍を離れたのは1947年10月14日で、51人が一度に皇室を出た。占領下で宮家の資産に高い税率の財産税がかかり、多くの宮家を支えることが難しくなったのが直接の理由だった。79年前に分かれた家系を、いま養子でつなぎ直す設計になっている。
女性皇族の身分保持も、動き出すかどうかは条文の外にある。経過措置により、いま皇室にいる女性皇族は結婚時に本人の意思で皇室を離れられる。未婚の女性皇族は5人で、何人が残るかは法律ではなく本人の選択で決まる。
皇族16人の年代別内訳(2026年8月時点)
出典:宮内庁「皇室の構成」公表の生年月日から集計
世論調査に出た19%と72%
毎日新聞が7月18日と19日に実施した世論調査では、改正皇室典範を「評価する」と答えた人は19%だった。
同じ調査で、改正でも女性天皇が認められなかったことについては「認めるべきだと思う」が72%、「認める必要はない」が11%、「わからない」が17%となった。
女性天皇に7割超が賛成する一方で、法改正そのものへの評価は2割に届かない。世論が見ているのは皇族の人数ではなく、誰が皇位を継げるかという範囲のほうだと考えられる。改正が動かしたのは前者で、後者は結論が先送りされた。19%という評価は、この落差に対応している。
日本の歴史上、女性天皇は8人10代いる。争点は女性が即位した前例の有無ではなく、母方だけで天皇につながる女系を認めるかどうかにある。今回の改正は、この一点に触れていない。
改正皇室典範への評価と女性天皇への賛否
出典:毎日新聞全国世論調査(2026年7月18〜19日実施)
附則に書かれた30年ごとの見直し
附則には、30年ごとに制度を見直す規定が入った。定期的な見直しが皇室典範に書き込まれたのは初めてで、施行は公布から3カ月後になる。
単純に数えれば、次の見直しは2050年代半ばだ。そのとき悠仁さまは40代後半になっている。
30年は、養子に迎えた人に子が生まれ、その子が成人するまでをちょうど一巡できる長さでもある。効果を確かめるのにそれだけの期間を見込んだ設定と言える。
ただし、3人という数字が動くかどうかは、見直しの時期とは関係なく決まる。旧宮家からの養子が実際に現れるか、悠仁さまの世代に男子が生まれるか、そのどちらかが起きたときだけだ。
いずれも制度ではなく個人の選択に左右される。今回の改正で見通しが立ったのは皇族の人数までで、継承資格者を3人から増やせるかどうかは、次の見直しまでの30年間、この2つの条件に預けられたままになる。