質問通告は31分早まった。それでも国会答弁が終わるのは深夜1時48分
2,358件の質疑を集計した内閣人事局の調査。答弁作成に着手できる平均時刻は18時32分で、4回の調査で18時台から動いていない
2026-08-21
1:48
国会答弁の作成が終わる平均時刻(委員会当日の未明)
深夜1時48分に終わる答弁作成
内閣人事局が2025年7月に公表した調査に、霞が関の夜がそのまま数字で出ている。
対象は26府省等。2025年通常国会のうち、衆参の予算委員会が開かれていた2月4日から3月31日までの2,358件の質疑を集計したものだ。
委員会の開催日ごとに見ると、こうなる。
- 最後の答弁作成に着手できるようになった平均時刻:18時32分
- その日の全ての答弁作成が完了した平均時刻:25時48分(翌日の午前1時48分)
- 要した時間:7時間16分
委員会が始まるのは、その朝の9時前後だ。書き終えてから質疑まで、7時間ほどしかない。
前年の同じ調査では、着手可能時刻が18時18分、完了が24時48分、所要6時間30分だった。**1年で、終わる時刻が1時間遅くなっている。**
答弁作成に要した時間の推移(委員会開催日ごとの平均)
出典:内閣人事局「国会対応業務に関する調査結果」
遅い通告は半分近くに減り、質疑件数も減った
国会答弁の作成が深夜に及ぶ理由として、長く名指しされてきたのは質問通告の遅さだ。
その遅さは、実際には改善している。
- 質問通告時刻の平均:12時01分から11時30分へ(31分早まった)
- 前日18時より後に届いた通告:173件(6.9%)から96件(4.1%)へ
- 前々日までに届いた通告:50.4%から50.1%へ(ほぼ横ばい)
遅い通告は1年で半分近くまで減った。質疑の件数も2,500件から2,358件へ減っている。
それでも答弁が終わる時刻は1時間遅くなり、作成に要した時間は46分増えた。通告時刻というレバーだけでは、この夜は説明がつかない。
質問通告時刻の分布(2025年通常国会、2,358件)
出典:内閣人事局「令和7年国会対応業務に関する調査結果」
18時32分を決めているのは日程のほう
動いていないのは、書き始められる時刻のほうだ。
- 令和4年臨時会:19時54分
- 令和5年常会:18時26分
- 令和5年臨時会:18時26分
- 令和6年常会:18時18分
- 令和7年常会:18時32分
通告の平均が午前11時半でも、着手できるのは夕方6時台になる。あいだに質問取りと担当課への割り振りが挟まるからだ。その質問取りは、対面レクが51.2%から60.3%へ増え、オンラインレクは8.8%から5.2%へ減った。工程は対面のほうへ戻っている。
では、なぜ夕方まで待つことになるのか。遅い通告96件の内訳を見ると、55件は委員会の開催そのものが前日に決まっていた。前年も173件のうち100件が同じ形だ。
通告が前日に届いた1,177件で見ても、385件(33%)は委員会が前日にセットされている。開催が決まった当日か翌日に、通告と質問取りと答弁作成が重なる。
質問通告は1999年に「前々日の正午まで」と与野党で申し合わせ、2014年に努力目標へ改められた。開催が前日に決まる質疑では、この目標は時間の上で満たしようがない。
前日18時より後に届いた通告96件の内訳
出典:内閣人事局「令和7年国会対応業務に関する調査結果」
AIが効くのは18時32分より後ろ
政府は2026年5月から、約18万人の職員が使う生成AI環境「源内」の大規模実証を始めた。令和7年度補正予算で44.0億円、5月末時点で約10万人に展開済みだ。
すでに使えるのは、過去の国会答弁を検索する「国会答弁を調査・分析」や法制度調査などのアプリだ。質問に対する答弁の草案そのものを作る「国会答弁作成支援AI」は、2026年4月から2027年3月にかけて開発中だ。
2026年5月27日の参院本会議では、デジタル相がその日の答弁作成に源内を使ったと明らかにした。本会議での使用は初めてだった。
このAIが削るのは、7時間16分の側だ。仮に半分になれば、終わりは22時台まで戻る。それでも、着手が夕方6時台からという前提は動かない。
2027年春に効果を測るとき、見るべき数字は「作成にかかった時間」ではなく「完了した時刻」になる。着手可能時刻が18時台のままなら、AIが動かせるのは退庁時刻であって、夜に始まる仕事そのものではない。夜そのものを前へ動かすレバーは、委員会の日程が決まる時刻の側にある。