教師不足3,827人。一番多く挙がった理由は、臨時の先生が採用試験に受かったことだ
採用倍率2.9倍は過去最低。宮崎県は採用予定464人に対して合格366人で、12月に追試を行う
2026-09-29
3,827人
公立校の教師不足(2025年5月1日時点)
採用予定に98人届かなかった宮崎県
宮崎県教育委員会が9月、2027年度採用の教員採用試験の結果を公表した。合格は366人。採用予定の464人に98人届かず、県教委は12月に追試を行う。最終倍率は2.4倍で、過去10年で最も低い水準が2年続いた。
倍率が2倍を超えていても、必要な人数はそろわない。受験者は複数の自治体を併願するため、合格者の一部は他県へ移るからだ。
全国も同じ向きに動いている。文部科学省が2025年12月に公表した集計では、2024年度に実施された公立学校の採用試験の競争率は2.9倍で、初めて3倍を割った。
同じ集計の主な数字はこうだ。
- 採用者数:37,375人(1986年度以降で最多)
- 受験者数:109,123人(過去最少)
- 競争率が下がった自治体:68のうち47
倍率は受験者を採用者で割った値だから、受験者が減って採用枠が増えれば下がる。この年は、その両方が同時に起きた。
校種別の教師不足の人数(2025年5月1日時点)
出典:文部科学省「令和7年度『教師不足』に関する実態調査」
欠員が出ているのは臨時的任用教員だ
文科省は2026年3月、4年ぶりとなる「教師不足」の実態調査を公表した。2025年5月1日時点で、学校に配当された教員数に対する欠員は3,827人(0.45%)。2021年の2,065人(0.25%)から増えた。始業日の時点では4,317人だった。
この数字は、正規教員の定数割れを表すものではない。義務標準法に基づく公立小中学校の定数分は、全国平均で充足率100.9%と足りている。足りないのは、産休や病休の代わりに入る臨時的任用教員のほうだ。
要因を尋ねた設問で「よくあてはまる」と答えた自治体が多かったのは、次の三つだった。
- 採用試験に合格し正規教員になった臨時的任用教員の増加:36自治体
- 産休や育休の取得者の増加:35自治体
- 講師登録名簿への登載を希望する人の減少:33自治体
欠員を埋めてきた人を正規に採用したぶん、埋める人が減っている。受験者側の数字も同じ層で動いた。既卒の受験者は平成27年度採用の121,937人から令和7年度採用の64,556人へ、47.1%減っている。
採用すれば、その人は受験者の列からも、代役を頼む名簿からも抜ける。
教員採用試験の受験者数は既卒が10年で47.1%減った
出典:文部科学省「令和7年度『教師不足』に関する実態調査」(公立学校教員採用選考試験の実施状況より作成)
特別支援学級は10年で2倍を超えた
需要の側も動いている。特別支援学級に在籍する児童生徒は2015年度の201,493人から2025年度の419,700人へ、10年で2倍を超えた。学級数も54,586から84,821に増えている。
不足率が最も高いのは特別支援学校の0.71%で、中学校0.47%、小学校0.44%、高等学校0.33%と続く。高等学校は2021年の159人から508人へ、人数で3.2倍になった。
小学校では、5月1日時点で1,086人の学級担任が本来の担当者ではなかった。うち319人は特別支援学級の担任だ。代わりに教室へ入ったのは、次の人たちだった。
- 主幹教諭や指導教諭、教務主任:417人
- 指導体制の充実のために配置を予定していた教員:299人
- 児童生徒支援などのために配置を予定していた教員:137人
- 校長や副校長、教頭:116人
増えた学級の担任を、学校の中にいる人でやりくりしている。管理職や主任が教室に入れば、その人が本来担う仕事は別の誰かに回る。
免許状を取る人は10年で6,921人減った
入り口も細くなっている。大学の卒業者数は2014年度の564,035人から2024年度の584,304人へ増えたが、大学で教員免許状を取った人は72,825人から65,904人へ減った。
教職課程を履修しなかった理由を学生に聞いた調査では、回答はこう並ぶ。
- 民間企業など教職以外への志望度合いのほうが高かった:55.9%
- 必要な単位数が多く、すべての取得は難しいと思った:29.9%
- 教育実習などまとまった期間の確保が難しいと思った:24.2%
- 学校関係者から得た情報で職場環境や勤務実態に不安を持った:21.8%
出口の側には期限が付いた。2025年6月に成立した改正給特法は、時間外在校等時間を2029年度までに月平均30時間程度まで減らす目標を掲げる。2022年度の調査では小学校が約41時間、中学校が約58時間だった。教職調整額は2026年1月から毎年1%ずつ上がり、2031年度に月給の10%になる。
自治体も個別に手を打っている。香川県は他県などの現職教員を対象にした秋募集を9月に始め、試験を10月31日に東京、11月1日に大阪、11月3日に香川で行う。ただ、そこで動くのはすでに教壇にいる人で、全国の教師の数は変わらない。
採用倍率は、教職を志す人の厚みを測る数字としては、もう読めない。追うべきは、大学で免許状を取る人の数と、講師登録名簿に名前を残す人の数だ。
1か月あたりの時間外在校等時間と2029年度の目標
出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」、改正給特法附則