マイナカードは10年もつ。中の電子証明書は5年で切れる
2026年度に更新期限を迎える電子証明書は1,430万件。カード本体の590万件の2.4倍だ
2026-09-01
1,430万件
2026年度に更新期限が来る電子証明書
二つある有効期限
マイナンバーカードには、有効期限が二つある。
カード本体は18歳以上なら発行から10回目の誕生日まで。ICチップに入っている電子証明書は、年齢を問わず5回目の誕生日までだ。
多くの人にとって、先に来るのは電子証明書のほうになる。
総務省の資料をもとにした試算では、2026年度に更新期限を迎えるのは次の規模になる。
- 電子証明書:約1,430万件
- カード本体:約590万件
電子証明書のほうが2.4倍多い。カードは手元で有効なまま、中身だけが期限を迎える人が、それだけいることになる。
理由は発行時期にある。マイナポイント事業は2020年9月から2023年9月まで実施され、この期間に発行が集中した。その5年後が、いま順番に来ている。
1億枚を配り終えたこの制度で次に問われるのは、何割が持っているかではなく、何割が期限内に更新できるかだ。
2026年度に更新期限を迎える件数
出典:総務省 全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議資料
紙の保険証が消えた後の受け皿
従来の健康保険証は、2024年12月2日に新規発行が終わった。経過措置も2026年7月31日までで、8月からは期限切れの保険証は使えない。
2026年度は、紙の予備がない状態で電子証明書の期限が来る最初の年になる。
ただし、受診の入り口がすぐ閉じるわけではない。
- 電子証明書が切れても、有効期限の属する月の末日から3か月間はマイナ保険証として使える
- その間に更新しなければ、資格確認書が交付される
- 資格確認書の有効期限は、保険者が5年以内で設定する
厚生労働省によると、2026年5月のマイナ保険証の利用率(レセプトベース)は68.52%で、前年同月から約34ポイント上がった。ただし2025年12月の63.24%からの5か月では、5ポイント強の増加にとどまる。伸びのペースは変わっている。
残る約3割は、資格確認書などで受診している。受け皿があるぶん、更新しないままでも受診には困りにくい。利用率が7割の手前で足踏みしているのは、そのためでもある。
マイナ保険証の利用率(レセプトベース)
出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会資料
1億枚のカードが、5年ごとに窓口へ戻る
マイナンバーカードの保有枚数は、2025年12月3日に1億枚を超えた。人口に対する保有率は80.3%、2026年2月時点では81.7%だ。
普及率としては、ここが天井に近い。
一方で1億枚に達したということは、5年ごとに1億件規模の電子証明書の更新が回り始めるということでもある。
更新の窓口は市区町村で、手数料はかからない。ただし本人か代理人が出向く必要がある。有効期限の2〜3か月前には、J-LISから有効期限通知書が郵送される。
見落としが起きやすいのは、カード本体がまだ有効に見えるからだ。券面に大きく印字された有効期限は10年後の日付で、電子証明書の期限はその下に別枠で書かれている。期限が二つあると知らなければ、上の日付だけを見て済ませてしまう。
年代別の保有率にも差がある。50歳以上は8割を超え、75〜79歳では9割を超える。15〜49歳は約77%、0〜14歳は約70%だ。窓口に来る人の多くは高齢層になる。
受診時の資格確認の内訳(2026年5月)
出典:厚生労働省
1兆円の概算要求のうち、普及に13.8億円
2026年度の1,430万件は、まだ入り口だ。マイナポイント第2弾で作った人の電子証明書は、2027年度以降に期限を迎える。
予算の重心も移りつつある。デジタル庁の2027年度予算の概算要求は1兆295億円で、2021年の発足後で初めて1兆円を超えた。
- 国の情報システムの整備と管理:9,523億円
- マイナンバーカードの普及と利用拡大:13.8億円
- 政府職員のAI利用ルールと生成AIの試験提供:6.3億円
普及に充てる額は、総額の0.13%だ。予算はカードを配るためではなく、できあがった仕組みを動かし続けるために積まれている。
保有枚数は、電子証明書が有効な枚数と同じではない。保有率80.3%は、その差を含んだままの数字だ。
2026年度に1,430万件、2027年度以降はマイナポイント第2弾の分が続く。紙の保険証という予備はもうない。この数年の更新率が、資格確認書で受診する人の割合をそのまま決めることになる。更新が滞れば、マイナ保険証の利用率も7割の手前から動かない。