次期マイナンバーカードは2029年度へ。1億452万枚の切り替えに残る時間は1年前後だ
10月20日にAndroid版が刷新され、カードを持たずに本人確認できる属性証明機能が付く。一方で現行カードの電子証明書に使う暗号は、2031年以降は新しく発行できない基準になっている
2026-10-08
1億452万枚
マイナンバーカードの保有枚数(2026年8月末)
10月20日に動くのはスマホの側
デジタル庁は10月2日、「Androidのマイナンバーカード」を10月20日に始めると発表した。Googleウォレットに登録して使う。
新しく付くのが**属性証明機能**だ。対面の場面で、カードを持たずに本人確認や年齢確認、住民確認を受けられる。金融機関の口座開設や携帯電話の契約が想定されている。
iPhone版は2025年6月に始まっていて、Androidは1年あまり遅れた。
ただ、スマホに入っているカードはまだ少ない。2026年8月末の数字を並べるとこうなる。
- マイナンバーカードの保有:1億452万5,120枚(人口の84.3%)
- iPhoneのマイナンバーカード:約850万人
- Androidの電子証明書搭載サービス:約80万人
スマホ側は合わせて930万人ほど。カードを持つ人の1割に届かない。
マイナンバーカードはどこに入っているか(2026年8月末)
出典:デジタル庁、総務省(2026年8月末時点)
3年後ろ倒しになった次期カード
7月21日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で、次期マイナンバーカードの導入目標は2029年度中になった。
もともとは2026年度の導入予定だった。2025年6月の閣議決定で2028年度中に延び、今回さらに1年延びた。当初から3年の後ろ倒しだ。
調達の経過も公表されている。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は2025年10月1日、次期カードに対応する公的個人認証サービスのシステム設計業務を一般競争入札にかけた。
11月28日の開札で落札者はなく、2026年1月27日に3社との随意契約(49億149万円)へ切り替わっている。要件を満たす者が1者しかいないと判明した場合の区分だ。
延期の理由を「業者がいなかった」と説明したと10月3日に報じられた。ただし発言の原文と、「業者」が何の業務を指すのかは公表資料からは確認できていない。
2031年に重なる二つの期限
マイナンバーカードの有効期限は二本立てだ。カード本体は18歳以上なら10回目の誕生日まで、中に入っている電子証明書は年齢に関係なく5回目の誕生日までになる。
2026年度は、その期限が集まる年にあたる。政府広報オンラインの見込みでは、電子証明書が約1,430万件、カード本体が約590万件だ。
ここで数えてみる。今年度に電子証明書を更新した人の次の期限は、5年後の2031年度に来る。
一方、現行カードの電子証明書はRSA2048という方式を使っている。暗号の強度は112ビットだ。暗号技術の評価を行うCRYPTRECの設定基準では、2031年以降はこの強度で新しい署名を作ることを認めない。次期カードが使うECDSA384は192ビットになる。
次期カードの配布が2029年度中に始まるとして、2031年1月までに残るのは最短で10か月、最長でも1年9か月だ。
2026年度に有効期限が来る見込み件数
出典:政府広報オンライン
2027年4月に変わる本人確認
期限が動く余地は残っている。設定基準は少なくとも5年ごとに見直され、CRYPTRECは2026年度に改定を進める方針を示している。2031年1月を動かせない線として読むのは正確ではない。
それでも、基準がそのままなら1億枚規模の入れ替えに使える時間は1年前後になる。市区町村の窓口でカードを配り直す方法だけでは、数が合わない。
そこにスマホ側の日程が重なってくる。2027年4月1日に施行される犯罪収益移転防止法の施行規則改正で、本人確認はICチップを読み取る方式が中心になる。対面でも券面を見るだけでは足りず、チップの中身と照らし合わせる手順が入る。携帯電話の契約についても、2026年4月に同じ方向の改正が施行済みだ。
カードを出す場面が増えるほど、カードを持ち歩かずに済む属性証明機能の使いどころは広がる。10月20日に公開される対応機種の範囲が、930万人という数字をどこまで動かすか。そこが次の目印になる。
電子証明書に使う暗号の強度
出典:デジタル庁「次期個人番号カードタスクフォース 最終とりまとめ」(2024年3月)