地震で228人、そのあとに530人。防災庁は11月2日に発足する
能登半島地震の死者758人のうち、災害関連死は530人。石川県が認定した449件では、原因に電気や水道の途絶が51.9%で挙がっている
2026-09-26
530人
能登半島地震の災害関連死(9月17日時点)
地震のあとに亡くなった530人
石川県は9月17日、能登半島地震の災害関連死を新たに3人認定した。地震による死者は758人になった。
うち530人が災害関連死だ。揺れや津波、建物の倒壊などによる直接死は228人で、そのあとに亡くなった人がその2.3倍いる。
発災は2024年1月1日。2年と8か月あまりがたったいまも、認定は月単位で増え続けている。
東日本大震災の震災関連死も3,808人まで積み上がり、認定は続いている(復興庁、2024年末時点)。関連死の数字は、災害の報道が終わったあとに動く。
2025年3月の南海トラフ巨大地震の新想定では、この関連死が初めて数値化された。2万6千人から5万2千人という幅で、発災1週間後の避難所の避難者は最大650万人と置かれている。
死者の想定は最大29万8千人、経済被害は292兆3千億円。このうち、発災したあとの手当てで減らせる余地が大きいのが関連死だ。
11月2日に発足する防災庁の仕事は、ここがどこまで減るかで測られることになる。
能登半島地震の死者758人の内訳
出典:石川県、NHK集計(2026年9月17日時点)
認定449件が挙げた原因
石川県は災害関連死の概況を公表している。第37回審査会までの449件について、原因を複数選択で整理したものだ。
上位に並ぶのは次の項目になる。
- 余震への恐怖などによる心身の負担 88.0%
- 電気や水道が止まったことによる負担 51.9%
- 社会福祉施設が被災して介護の機能が落ちたこと 46.5%
- 避難所などでの生活の負担 39.2%
避難所の環境は4番目だ。上位には、自宅や施設で暮らし続けた人が置かれた条件が来ている。
認定された人の95.8%に既往歴があり、80歳以上が81.9%を占める。医療や介護が必要な人が、電気と水が止まった場所で数日を過ごすとどうなるか。この並びが指しているのはそこだ。
死因の区分も同じ方向を向いている。心血管の疾患が30.3%、呼吸器の疾患が28.1%、老衰などが19.6%で、この3つで8割に近い。
寒さと、水を控えること、体を動かせないこと。どれも避難所の中だけで起きる話ではない。
災害関連死449件で原因に挙がった項目(複数選択)
出典:石川県「令和6年能登半島地震における災害関連死の概況」
発災から亡くなるまでの時間
同じ資料には、発災から亡くなるまでの期間も載っている。
1週間以内は9.8%。1か月以内までで32.7%、2か月以内までで50.1%になる。半年以内までで87.5%だ。
**認定された死者の半分は、発災から2か月のあいだに出ている。** 避難所が閉じ、応急対応が一段落していく時期と重なる。
2025年6月に公布された改正災害対策基本法は、考え方を「場所から人へ」と書き換えた。自治体に備蓄状況の公表を求め、災害救助法の救助の種類に福祉サービスの提供を加えている。
備蓄の見える化も動いた。国は2025年1月、全国の自治体の備蓄量を初めて公表している。米やパンは進む一方で、簡易ベッドや移動式のトイレは足りず、簡易ベッドがゼロと答えた市区町村もあった。
制度の側は、避難所を開けることから、人の状態を数か月追いかけることへ動いている。残るのは、その手が自宅と施設まで伸びるかどうかだ。
発災から亡くなるまでの期間(認定449件)
出典:石川県「令和6年能登半島地震における災害関連死の概況」
355人の司令塔が持つ道具
防災庁は内閣総理大臣をトップに置く内閣直属の組織になる。定員は特別職3人と一般職352人の355人で、内閣府防災担当の220人から1.6倍だ。
平時の備えから復旧と復興までを一貫して担う。基本方針をつくり、大規模災害への対処を企画し、府省庁のあいだを調整する役回りになる。
手にする道具は勧告権になる。各府省庁に対応を求められ、府省庁は勧告を尊重する義務を負う。地方に置く拠点は法律の規定で2年以内に2カ所で、場所は有識者会議で決める。
勧告の宛先は、避難所の在庫だけではない。石川県のデータが指しているのは、在宅の高齢者と福祉施設に届く電源と水だ。
南海トラフの想定に5万2千人という上限が書かれた以上、防災庁の成績はその数字の減り方で見える。
手元で確かめられることもある。実家のある市町村が公表した備蓄の量と、親が通う施設が停電のとき何時間動けるか。この2つは、11月2日を待たずに調べられる。