沖縄振興予算3000億円台へ。県が使い道を選べるお金は1759億円から736億円に減った
総額は14年で11%減。その間に一括交付金は58%減り、国が使い道を決める分は35%増えている
2026-09-14
27.8%
沖縄振興予算に占める一括交付金の割合(2026年度)
3000億円という基準はどこから来たか
政府が2027年度の沖縄振興予算を3000億円超に増やす方向で調整に入ったと、共同通信が9月14日に報じた。
沖縄県は毎年3000億円台を国に要請してきた。実際の当初予算は2022年度から6年続けて3000億円を下回っている。2026年度は2,647億円、8月末に内閣府が示した2027年度の概算要求は2,897億円だった。
この水準には経緯がある。2014年度予算の決定にあたって、当時の首相が2021年度まで毎年3000億円台を確保すると表明した。沖縄振興予算はその年、3,501億円のピークをつけている。
以来、議論は総額が3000億円に届くかどうかに集まってきた。
ただ、総額そのものはそこまで動いていない。2012年度の2,987億円に対して2026年度は2,647億円で、14年かけて11%減った程度だ。
動いたのは内訳のほうで、こちらは半分近くが入れ替わっている。
沖縄振興予算に占める一括交付金の割合
出典:内閣府資料(参議院「立法と調査」No.472)、内閣府「令和8年度沖縄振興予算について」
1759億円から736億円になった一括交付金
入れ替わったのは、一括交付金とそれ以外の関係だ。
沖縄振興一括交付金は2012年度に創設された。沖縄振興特別措置法の改正にあわせて、県が自分で選んだ事業に充てられる交付金として置かれたものだ。
推移はこうなる。
- 2012年度(創設):1,575億円
- 2014年度(ピーク):1,759億円
- 2020年度:1,014億円
- 2026年度:736億円
ピークから58%減った。一方で一括交付金以外の予算は、2012年度の1,412億円から2026年度の1,911億円へ35%増えている。総額が11%減るあいだに、内訳の二つは逆の方向に動いた。予算に占める一括交付金の割合は、2012年度の52.7%から2026年度は27.8%になっている。
この減り方には注釈がいる。2025年度予算で、駐留軍用地跡地の先行取得など3事業(計119億円)がソフト交付金から個別の事業費に組み替えられた。制度の付け替えによる減少分だ。
それでも119億円を足し戻して855億円にとどまり、ピークの半分には届かない。
一括交付金とそれ以外の予算の14年
出典:内閣府資料(参議院「立法と調査」No.472)、内閣府「令和8年度沖縄振興予算について」
県を通らずに配られる95億円
金額と並んで、配り方も変わった。
一括交付金のうちソフト分は、配分を県側で決める仕組みになっている。県知事と41市町村長が出席する沖縄振興会議で県分と市町村分を協議し、さらに市町村の間の配分を協議して決める。
これとは別に、2019年度に沖縄振興特定事業推進費が新設された。ソフト交付金を補完する位置づけで、県を介さず、国から市町村や民間事業者へ案件ごとに直接交付される。
額はこう動いた。
- 2019年度(新設):30億円
- 2026年度:95億円
- 2027年度概算要求:100億円
概算要求どおりなら8年で3.3倍になる。2026年度のソフト交付金347億円に対し、補完として置かれた推進費はその27%にあたる規模だ。
参議院の調査室がまとめた資料も、この推進費を取り上げている。「選択的、集中的に配分されている」との見方や、県の自主性が制限されるとの指摘があることを紹介している。
沖縄振興特定事業推進費の推移
出典:内閣府「令和8年度沖縄振興予算について」「令和9年度沖縄振興予算概算要求について」、参議院「立法と調査」No.472
総額が3000億円に戻ると一括交付金はどうなるか
ここまでの数字を、冒頭の3000億円に当てはめてみる。
2027年度概算要求に計上された一括交付金は783億円。ソフト358億円、ハード425億円という内訳だ。
仮に総額が3000億円に増え、増えた分が公共事業や個別の事業費に積まれたとする。このとき一括交付金の割合は26.1%まで下がる。2026年度の27.8%より低い。
総額が3000億円台に戻ることと、県や市町村が自分で使い道を決められる額が戻ることは、同じではない。
沖縄振興特別措置法は2022年に10年延長され、施行から5年以内に見直しを検討する規定が置かれた。5年目は2027年度にあたる。
その見直しで総額だけを追うと、この14年の入れ替わりは視野に入らない。予算書で確かめるべきは、総額の下にある一括交付金の行のほうだ。