独自分析
再エネ賦課金GX-ETS排出量取引制度カーボンプライシング電気料金
電気代の再エネ賦課金は年2万64円。企業の排出枠が有償になるのは2033年度からだ

電気代の再エネ賦課金は年2万64円。企業の排出枠が有償になるのは2033年度からだ

1kWh4.18円をCO2 1トンに換算すると約9,900円。2026年度に義務化されたGX-ETSの参考上限取引価格は1トン4,300円で、排出枠の取引市場が開くのは2027年秋だ

2026-10-14

2万64円

再エネ賦課金の年負担(月400kWh世帯)

年2万64円になった電気代の上乗せ分

2026年度の再エネ賦課金は、1kWh当たり4.18円だ。

経済産業省が使う需要家モデル(月400kWh)に当てはめると、月1,672円、年20,064円になる。 年額が2万円を超えたのは初めてだ。

単価の推移を並べると、制度が始まった2012年度は0.22円だった。 2023年度に1.40円まで下がったあと、3.49円(2024年度)、3.98円(2025年度)と戻している。

今回の上げ幅0.20円は、再エネの買取費用が増えたからではない。 買取費用等は4兆8,540億円から4兆8,507億円へ、ほぼ横ばいだ。 動いたのは差し引く側で、回避可能費用等が1兆7,906億円から1兆6,495億円に減った。

**卸電力市場の価格が下がると、電気を売って回収できる分が減り、賦課金で集める額が増える。** 2026年度に賦課金として集まるのは、約3兆2,000億円になる。

再エネ賦課金の単価の推移

出典:経済産業省(各年度の賦課金単価の公表資料)

2026年度に義務になった排出量取引

2026年度は、企業の排出に値段をつける制度が動き出した年でもある。 4月に、GX-ETS(排出量取引制度)の第2フェーズが始まった。

対象は、CO2の直接排出が年10万トン以上の事業者だ。 直近3年度の平均で判定し、300〜400社が義務を負う。 みずほリサーチ&テクノロジーズの整理では、国内排出量の約6割をカバーする。

ただし、ここで企業が払う金額はまだ発生していない。

  • 排出枠は当面すべて無償で割り当てられる
  • 初回の割当は2027年度で、取引市場が開くのは2027年秋の予定
  • 2026年度分の排出枠を納める期限は2028年1月31日
  • 有償のオークションは2033年度から、発電事業者を対象に始まる

価格の目安は、2026年4月1日施行の告示で決まっている。 参考上限取引価格は1トン4,300円、下限は1,700円だ。

GX-ETSの義務対象がカバーする国内排出量

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ(経済産業省資料に基づく整理)

CO2 1トン当たりの負担額

賦課金と排出枠は、性質の違う仕組みだ。 前者は再エネの買取費用を回収するもので、炭素そのものの値段ではない。 それでも、どちらも電気や燃料を使う量に応じてかかる点は共通する。 そこで、単位をそろえて並べてみる。

資源エネルギー庁が公表する全国平均の排出係数は、1kWh当たり0.000423トンだ。 4.18円をこの係数で割ると、CO2 1トン当たり約9,900円になる。

**GX-ETSの参考上限価格4,300円の、2.3倍にあたる水準だ。** 下限の1,700円と比べれば5.8倍になる。

上限価格の置き方にも理由がある。 石炭からLNGへ燃料を切り替えるコストの、直近10年の中央値(約4,370円)が目安だ。 つまり企業側の価格は、排出を減らすのに実際にかかる費用から決まっている。 一方の家計側の単価は、過去に約束したFITの買取価格の積み上がりで決まる。

CO2 1トン当たりに直した負担額と価格の目安

出典:経済産業省(2026年度賦課金単価、告示第27号)、資源エネルギー庁(全国平均排出係数0.000423t-CO2/kWh)

負担が効き始める順番

日程を並べると、支払いが始まる順番がはっきりする。

  • 2026年5月検針分から:家計も企業も1kWh4.18円を払う
  • 2027年秋:排出枠の取引市場が開く
  • 2028年1月31日:2026年度分の排出枠を納める期限
  • 2028年度:化石燃料の輸入事業者に化石燃料賦課金がかかる
  • 2033年度:発電事業者向けの有償オークションが始まる

電気を多く使う事業者には、賦課金の減免制度がある。 申請して認定を受ければ負担が軽くなる仕組みで、2027年度適用分の受付は2026年11月だ。 家庭に同じ仕組みはない。

だから当面、家計の側で賦課金を減らせる方法は、使用量を減らすか自家消費に回すかに絞られる。

2027年度の単価も、買取費用がほぼ横ばいなら卸電力市場の価格で動く。 卸価格が下がった年ほど賦課金の単価は上がる、という読み方をしておくと、来年3月の発表は予想しやすい。