独自分析
食料自給率カロリーベース飼料用米畜産農林水産省
国産の牛肉も、自給率では12%しか国産に数えない

国産の牛肉も、自給率では12%しか国産に数えない

2025年度のカロリーベース食料自給率は過去最低の37%。同じ年に生産額ベースは66%へ上がった。指標を動かしているのはコメと飼料だ

2026-08-14

37%

2025年度のカロリーベース食料自給率

同じ年に、三つの自給率が出た

農林水産省は2026年8月7日、令和7年度(2025年度)の食料自給率を公表した。カロリーベースは37%で、前年度から1ポイント下がった。

比較できる1965年度以降で最も低い。小数点まで見ると37.11%で、同じ37%だった1993年度や2018年度をわずかに下回った。

だが同じ発表のなかで、生産額ベースは66%へ2ポイント上がっている。

**同じ1年の同じ農業を測って、下がる指標と上がる指標が並んだ。**

農水省の説明はこうだ。生産額が伸びたのは、コメと畜産物の国内価格が上がったから。カロリーが下がったのは、国産の供給熱量が減ったから。値段が上がれば生産額ベースは上がり、食べる量が減ればカロリーベースは下がる。同じ出来事が、二つの指標には逆向きに出る。

今回からは3つ目の指標も並んだ。実際の摂取熱量を分母に置く「摂取熱量ベース」は45%で、こちらも1ポイント下がった(1人1日あたり830kcal÷1,850kcal)。

2025年度に公表された3つの食料自給率

出典:農林水産省「令和7年度食料自給率を公表します」(2026年8月7日)

カロリーベースを支えているのはコメ

品目別のカロリーベース自給率を並べると、指標の性格がはっきりする。

  • コメ:96%
  • 野菜:73%
  • 畜産物:17%
  • 小麦:16%

国産で賄える熱量は、コメに大きく寄りかかっている。ごはん1食をパンに替えれば、その分の熱量が国産から輸入に置き換わる。

2025年度に起きたのは、まさにその置き換えだった。米価の高騰でコメの消費量が減り、民間在庫が増えた。

ここで効いてくるのが計算式だ。**在庫は供給熱量に数えない。作っても食べられなければ、分子は増えない。**

政府は2030年度に45%へ引き上げる目標を掲げているが、2010年度以降は30%台後半での横ばいが続いてきた。

この横ばいを抜ける道は二つしかない。コメを食べる量が増えるか、輸入に頼る品目が国産に替わるかだ。そして後者で最も大きいのが、17%の畜産物である。

品目別のカロリーベース自給率(2025年度)

出典:農林水産省「令和7年度食料自給率」

牛肉の自給率は42%と12%に割れる

畜産物の17%という低さは、肉や牛乳を輸入しているからではない。飼料を輸入しているからだ。

家畜が食べる飼料の自給率は、TDN換算で26%(令和6年度)。牧草などの粗飼料は78%が国産だが、トウモロコシなどの濃厚飼料は13%にとどまる。

この差が、牛肉の数字を二つに割る。

  • 重量ベースの牛肉自給率:42%(令和6年度、5年連続の上昇)
  • 飼料自給率を考慮した牛肉自給率:12%(令和5年度)

国内で生まれ、国内で育った牛でも、食べた穀物が輸入なら、その分は輸入として数える。

店頭で国産の肉を選ぶ行動は、価格を通じて生産額ベースにはそのまま効く。だがカロリーベースでは、輸入飼料の分だけ目減りする。こちらを動かすのは、牛が食べるものの側だ。

飼料用米が1年で半分以下になった

その飼料の国産化は、2025年に後退した。

令和7年産の飼料用米の作付面積は4.6万haで、前年から5.3万ha減った。ピークだった令和4年産の14.2万haと比べると、3分の1以下になる。

代わりに増えたのが主食用米だ。作付面積は125.9万haから136.7万haへ、10.8万ha増えた。

**水稲の作付面積そのものはほぼ横ばいで、田んぼの中身が入れ替わった。**

農家の判断としては自然だ。令和6年産米の相対取引価格は2025年6月時点で60kgあたり24,751円と、前年産の162%に達した。一方で飼料用米(一般品種)への交付単価は10aあたり7.5万円から7.0万円へ下がり、令和8年産は6.5万円になる。

この入れ替わりを自給率の式に当てはめると、動く向きははっきりする。増えた主食用米は消費が減った分だけ在庫に回り、分子には届きにくい。減った飼料用米は、畜産物の自給率を押し下げる側に働く。

45%目標に効くレバーはコメの消費量と飼料の国産化の二つだが、2025年度はその両方が逆に動いた。交付単価が令和8年産にさらに下がることを踏まえれば、飼料用米が自力で戻る条件は整っていない。主食用米の増産だけでは、この指標は上向かない。

飼料用米の作付面積の推移

出典:農林水産省「米をめぐる状況について」(2025年12月)