独自分析
特定技能育成就労外食業人手不足出入国在留管理庁
特定技能の外食枠は2年で満杯。ドライバー枠は98%が空いている

特定技能の外食枠は2年で満杯。ドライバー枠は98%が空いている

4月13日に外食業の新規受け入れが停止した。上限5万人は「人手不足の数」ではなく、生産性向上と国内採用で埋まらなかった残りとして計算されている

2026-08-17

95.4%

外食業の枠の充足率(2026年3月末)

4月13日、外食業の新規受け入れが止まった

2026年4月13日、特定技能1号の外食業分野で新規の受け入れが原則停止された。3月27日に出入国在留管理庁が決定し、在留資格認定証明書の交付申請の受付を止めている。

止まったのは新規だけだ。外食業のなかでの転職や、3月27日までに食品産業特定技能協議会への加入を申請していた分は続く。

理由は枠に達したことだ。外食業の受入れ見込数は5万人。2026年3月末時点の在留者は4万7,714人で、充足率は95.4%になっていた。

一方、特定技能1号の全体は40万4,527人。枠は80万5,700人あり、まだ半分しか使っていない。

**全体は半分、外食業だけ満杯。**この差がどこから生まれるのかが、この制度の分かりにくいところだ。

外食業の特定技能1号在留者数の推移

出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」

枠の埋まり方は0.8%から95.4%まで開いている

分野ごとの充足率を並べると、同じ制度とは思えないほど散らばっている。2026年3月末時点の数字はこうだ。

  • 外食業:95.4%
  • 飲食料品製造業:72.2%
  • 建設:67.2%
  • 介護:58.9%
  • 農業:54.5%
  • 宿泊:14.9%
  • 鉄道:2.0%
  • 自動車運送業:1.5%
  • 木材産業:0.8%

目を引くのは自動車運送業だ。枠は2万2,100人あるのに、在留者は333人。98%が空いたままになっている。

トラック輸送は、対策を取らなければ2030年度に輸送能力が約34%不足するという政府の試算が出ている分野だ。人手が足りないと言われ続けている場所ほど、枠が使われていない。

充足率の順番は、人手不足の深さの順番と一致していない。

特定技能1号の分野別充足率(2026年3月末)

出典:出入国在留管理庁「特定技能1号の分野ごとの受入れ見込数や在留者数等」

上限は「足りない数」ではなく「残った数」

受入れ見込数の決め方は公表されている。式はこうだ。

受入れ見込数=5年後の人手不足数-(生産性向上+国内人材確保)

枠は不足の全量ではない。省力化投資や処遇改善で埋まる分をあらかじめ差し引いた、残りの数字になる。

2026年1月23日の閣議決定では、特定技能1号の枠が約82万人から80万5,700人へ見直された。外食業は5万3,000人から5万人に下がっている。すでに4万6,000人が在留していた分野で枠が3,000人縮み、その3カ月後に受け入れが止まった。

もう一つ効いているのが入口の要件だ。自動車運送業では、トラックで日本語能力試験N4以上、タクシーとバスはN3以上に加えて第二種免許と新任運転者研修の修了が要る。評価試験が始まったのも2024年12月と新しい。

外食業は試験の実施回数が多く、留学生から移る道も太い。**埋まるのは不足が深い分野ではなく、入口を通れる分野だった。**

2027年4月の育成就労に、同じ配分が引き継がれる

同じ1月23日の閣議決定で、2028年度末までの受入れ見込数も決まった。

  • 特定技能:80万5,700人
  • 育成就労:42万6,200人
  • 合計:123万1,900人

分野別では工業製品製造業が31万9,200人、建設が19万9,500人、飲食料品製造業が19万4,900人、介護が16万700人と続く。外食業は特定技能5万人に育成就労5,300人が足される形だ。

育成就労は2027年4月1日に施行される。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請は9月1日から始まった。自動車運送業と航空は、現時点で育成就労の対象に入っていない。

充足率の並びをそのまま延ばせば、次に上限が近づくのは飲食料品製造業と建設になる。どちらも7割前後まで来ている。

枠が先に尽きるのは、人が最も足りない分野ではない。人が入れる仕組みが整った分野から順に尽きる。上限が労働需要と噛み合っているかどうかは、総枠の大きさではなく分野別の充足率を見ないと判断できない。

2028年度末までの受入れ見込数(特定技能と育成就労の合計、上位5分野)

出典:令和8年1月23日閣議決定「特定技能制度及び育成就労制度の運用に関する方針」