独自分析
町村議会議員のなり手不足統一地方選2027無投票当選地方自治法
町村議員の27.5%が農林漁業。その担い手は5年で24%減っている

町村議員の27.5%が農林漁業。その担い手は5年で24%減っている

議員報酬は月21万円、平均年齢64.4歳。2027年春の統一地方選に向け、町村議選の無投票は27.4%まで増えた

2026-09-03

27.5%

町村議員に占める第1次産業

町村議会の職業構成は町の縮図ではない

全国926町村の議会に、議員は10,607人いる(2023年7月1日現在)。

全国町村議会議長会の実態調査で職業の内訳を見ると、こうなる。

  • 第1次産業 27.5%
  • 第3次産業 25.9%
  • 議員専業 24.3%
  • その他 13.2%
  • 第2次産業 9.1%

**議員の4人に1人以上が農林漁業だ。**

比較の材料を置いてみる。農林水産省の2025年農林業センサスで、基幹的農業従事者は103.6万人。総務省の労働力調査(2025年平均)の就業者6,828万人に対して1.5%にあたる。

分類の取り方が違うので、そのまま並べられる数字ではない。それでも桁の差は明らかだ。

町村議会は、その町や村で働く人の縮図にはなっておらず、特定の職業に厚く寄っている。

なり手不足を人口減少だけで説明するのは難しい。議員を務められる職業が限られていること自体が、候補者の母集団を狭めている。

町村議会議員の職業構成(2023年7月1日現在)

出典:全国町村議会議長会「町村議会実態調査」

報酬は月21万円、兼業には二つの関門

町村議会議員の報酬は全国平均で月21万3,902円(2020年7月1日現在、全国町村議会議長会調べ)。議長で29万円台、副議長で23万円台だ。

**この額では専業になりにくい。だから兼業が前提になる。**

その兼業に、二つの関門がある。

一つは時間だ。本会議や委員会は平日の日中に開かれることが多い。勤め先を平日に離れられるかどうかが、立候補する前に問われる。

もう一つは法律だ。地方自治法92条の2は、その自治体と請負関係にある人が議員になることを禁じている。2023年3月施行の改正で、自治体との取引が年300万円以下なら失職しないと緩和されたが、規制そのものは残っている。

同じ改正の附則には立候補休暇が書き込まれた。ただし内容は、政府が事業主に自主的な取組を促すというもので、企業に義務は課していない。

結果として、時間の融通が利く職業に候補が寄る。議員の平均年齢は64.4歳、50歳未満は11.4%、女性は13.3%だ(2023年7月1日現在)。

送り出す側の母集団が縮んでいる

その27.5%を支えてきた職業の側に目を移す。

基幹的農業従事者は2025年に103.6万人。5年前から24.0%減った(農林業センサス)。

  • 2010年 205.1万人
  • 2015年 175.7万人
  • 2020年 136.3万人
  • 2025年 103.6万人

**平均年齢は67.7歳。65歳以上が69.6%を占める。**

町村議員の平均年齢64.4歳より、さらに3歳高い。議員を多く送り出してきた層は、議員よりも高齢で、5年ごとに2割ずつ縮んでいる。

ここに報酬の引き上げは効きにくい。報酬の改定は、いま議員を務められる人の待遇を変える話であって、母集団そのものを広げる話ではない。

基幹的農業従事者数の推移

出典:農林水産省 農林業センサス

2027年春までに動かせる三つの条件

無投票の数字も、この見方と整合する。

全国町村議会議長会の集計で、町村議会議員選挙が無投票だった団体の割合はこう動いた。

  • 2011年5月から2015年4月 20.4%
  • 2015年5月から2019年4月 21.9%
  • 2019年5月から2023年4月 27.4%

直近の期間では、926町村のうち254町村で選挙がなかった。統一地方選に絞ると33.0%、定数割れも31町村ある。

**選挙になった町村も、競争があったとは限らない。**

立候補者が定数プラス1だった町村は299で、全体の32.3%。無投票と合わせた59.7%が、競争のほとんどない線の上にある。

議長会は、同じペースなら2023年5月からの4年間で34.1%が無投票になる可能性を示している。その4年間の終わりが2027年春の統一地方選だ。

打てる手は三つに整理できる。

  • 報酬:待遇は改善するが、立候補できる職業の幅は変わらない
  • 定数:無投票の割合は下がる。ただし議長会は、短絡的な定数削減がなり手不足の悪循環を招くと指摘している
  • 時間:夜間や休日の議会、オンライン出席、立候補休暇の扱い

母集団そのものを広げうるのは三つ目だけだ。2027年春にまず見るべき数字は、投票率ではなく立候補者数になる。

町村議会議員選挙が無投票だった町村の割合

出典:全国町村議会議長会調べ(2023〜27年は同会の試算)